業務プロセス改善における紙との良い付き合い方

ペーパーレスと業務改善

みなさんこんにちは。プロジェクト・アスノートの松田です。

ペーパーレスという言葉は、さまざまな場所で聞くことができます。
特に、業務改善やシステム導入においては、まるで悪者のように扱われ、とにかく業務から紙をなくすことが良いことかのような印象を受けることもあります。

業務改善を進めていくにあたっては、さまざまな方策を行った結果、その業務プロセス全体のパフォーマンスを上げるということが本来の目的となります。
パフォーマンスを上げるというのは、作業が効率化されて早く終わるようになること、仕事のミスが少なくなること、必要な情報を素早く見つけることができるようになること、というふうにさまざまな要素がバランスよく向上すること、というふうに言い直すこともできます。

さて、それでは業務における紙というものについて考えてみましょう。
1つめの例です。

お客さんから送付されてくる注文書は紙で届きます。後続の業務はシステム化されているため、受け取った担当者は紙の情報をシステムに入力(転記)する必要があります。また、転記ミスを防ぐために、別の担当者によるダブルチェックという工程もあります。

そう、紙があることによって「転記」という作業が発生しています。
もう一つ例をあげましょう。

現場の作業が正しくできているかチェックするためのチェックリストがあります。外の現場で記入しますので、紙のチェックリストをバインダーにはさんで持ち出します。記入は現場で立ったままペンで行います。チェックの結果、異常が無いことが確認でき、確認者としてサインをして、事務所のファイルに保管しておきます。

チェックした詳細の内容はデータとして残す必要は無いという前提をおくと、このチェックリストをシステムに転記する必要はなく、最終結果として合格だったのか不合格だったのか、を記録しておけばいいということになります。もちろん不合格の場合は内容に応じた対応策を実施するはずです。

それではもし、このチェックリストの全項目を「ペーパーレス化推進」という名目でシステム化したとします。ノートPCかタブレットを現場に持ち出すことになるのだと思います。これまでバインダー1つとボールペンでササッとチェックしていた作業はどうなると思いますか? 

ちょっと想像してみたらわかります。

ものには使い所がある

これらの例からもわかるように、道具には使い所を間違えてしまうと非常に効率が悪くなったり、逆効果になってしまう恐れがあるものもあります。
今回は業務(仕事)の流れ、すなわち業務プロセスを見直したり、作ったりするときに、紙をどのような使い方をすればいいか、少しだけ考えてみたいと思います。

紙でスタートする業務プロセス

次のような業務プロセス(業務フロー)があったとします。青い長方形は1つの作業(業務)を表しています。


この流れの中に「紙」で実施する業務が入っている場合を考えてみます。

先ほど例にあげたように、紙からスタートする業務プロセスです。
紙で送付されてきた注文書や申請書など、世の中でもよくあるパターンですね。後続の業務(青い長方形)がシステムの中で行われる場合、紙からシステムへデータを転記する必要が生じます。
「転記する」という作業は、もちろん手間や時間もかかりますし、転記ミスが起こる可能性もあるので、ダブルチェックをしたりと、さらに必要な作業を生み出してしまいます。

とはいえ、業務のスタートが紙で行われるケースというのは、現実にはよくあります。これを解消するためには、オンライン申し込みや、Webフォームを使った申請を行う等の方策が行われています。

流れの途中に紙がある業務

次に、こんなパターンはどうでしょうか?

業務の流れの途中に紙があるケースです。
青いところがシステムだとすると、途中で紙が入るということは、帳票出力のようなケースですね。そしてその紙に何かを記入してもらって、またシステムに転記する。。。

無駄なように思えますが、これも実際にはよくあります。
初めにいろいろな情報を画面に入力していきます。このまま申し込みできるかと思いきや、なんと、記入事項が印字された申込書がPDFで出力され、それを印刷してハンコを押して、添付資料をつけて郵送してください。

どこかで聞いたような電子手続きです。
ポイントは、業務1と業務3の間でデータがシステム的に連携していないということです。申込書の記載内容は記入ミスは少なくなりますが、申込書の紙を受け取った担当者の人は、その内容をきっとまた別のシステムに向かって転記作業をしているはずです。

理想的な紙の使い所はどこか

これまで見たように、業務プロセスの一番始めや途中に紙が存在すると、必ず転記作業を伴うことになります。また、紙がそのままファイリングされて保存されるケースもよくあります。置きっぱなしの情報であればいいのでしょうけど、あとで探し出して活用する必要があるものだと大変です。

目的の紙資料を見つけるために、台帳を作って管理したり、複雑なコード体系を作って採番したりと、またここでも大きな手間がかかってしまいます。

それでは、業務プロセスにおいて、理想的な紙の使い所はどこでしょうか。

一番避けたいことは、紙からシステムへの転記という作業です。そのためには、紙の後続にシステムへ入力する業務が来ないことが大事です。そのためには、

紙は業務フローの末端に置く

ということが重要になります。

業務フローの末端には2種類あります。
周知や確認のために、メインの流れから枝のように横に出すパターンと、最後に紙に出力するパターン。

業務プロセスの途中から枝のように出す場合は、一番始めに紹介した例のように、紙で行った方が効率が良い作業のために使うという方法です。
最後に出力する場合は、法律等で紙での保存が定められているケースや、最後に出力した紙を外部に送付する必要があるようなケースです。

大事なことは、どちらも「紙からの転記作業は無い」ということです。

このように、業務プロセス図を書いたときに目で見てわかる判断方法でも、その業務プロセスが効率的であるかどうか、を見分けることができます。
既存の業務プロセスを見直して業務改善する場合や、新たに業務プロセスを構築する場合の、1つのヒントになるのではないでしょうか。

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