kintoneでワークフロー3.承認と差し戻しの通知を設定する

対象となる業務プロセス

前回前々回で作成したワークフローアプリは次のような業務プロセスです。この記事から読み始めた人は、どのような業務プロセスなのか、リンク先で確認しておくと、理解しやすいと思います。

このレクチャーの目的

より実践的なワークフローでは、次に自分が何かアクションしなければならないときは、通知で知らせることが望ましいです。前回作成したアプリに必要な通知を設定しましょう。

  • kintone標準で通知されるものと個別設定が必要なものの区別について学ぶ
  • 通知の基本的な設定方法を学ぶ

kintone標準の通知を理解する

個別の設定に入る前に、kintoneのプロセス管理を設定したときに標準で自動的に通知される内容があります。まずはその内容を把握しておきましょう。

kintoneヘルプの「通知が送信されるタイミングと宛先」という解説の中の表に、以下のような記載があります。この表の中でプロセス管理に関連するのは、この1行だけです。

表.kintone標準で発信される通知

機能 送信されるタイミング 通常の通知を受信するユーザー 「自分宛」の通知を受信するユーザー メール通知の受信
アプリ レコードのステータスを変更したとき 変更時に作業者に割り当てられたユーザー 1

今回のアプリで言うと次のように考えられます:

  1. 承認依頼ボタンによってステータスが、未処理→承認中になったとき、次のステータス:承認中では、ユーザー「承認者A」が作業者に割り当てられていますので、承認者Aさんのところに通知が発信される。
  2. 承認者が承認した場合は、次のステータス:完了には作業者が割り当てられていないため、誰にも通知されない。
  3. 承認者が差し戻しをした場合は、次のステータス:未処理の作業者、すなわちレコードの「作成者」に通知されます。

これ以外のタイミングや宛先に通知を出したい場合は、個別の通知設定が必要になります。
また、上記の標準通知は強制的に設定されてしまう(設定をキャンセルできない)ため、同じタイミングで個別通知を設定したら、2重に通知が届くことになりますので注意が必要です。

kintone通知あるある(共通知識)

kintone通知の共通事項として次のことを覚えておきましょう。

※自分の画面操作で通知を発信するタイミングになったとき、通知先に自分が設定されていても通知は発信されない。

 

設定するべき通知内容の整理

通知タイミング

ここで、通知が欲しいのはどのタイミングなのか、整理しておきます。

  1. 承認依頼された時に、承認者に承認すべきレコードが追加されたことを通知したい
  2. 承認された時に、申請者に承認が完了したことを通知したい
  3. 差し戻しされた時に、申請者に差し戻しされた事を通知したい

通知されるべき情報

通知に必要な情報は次の2つです。

  1. 何についての通知なのか
    何についての通知なのか、については、そのレコードのタイトルを適切に設定しておくことで、タイトルを見ただけである程度の情報が得られるようにしておきましょう。
  2. 自分が何をするべきなのか
    自分が何をするべきなのか、については、承認するなどのアクションが必要であればアクションを促す通知内容にするべきですし、単にステータスが進捗した事を確認しておけばいいのか等が、なるべく通知を見ただけで理解できるように設定するべきです。

通知を出したいタイミングと内容

ここまでを表で整理すると、以下のようになります。

表.通知が欲しいタイミングと内容

タイミング 通知先 通知内容 設定手段
1 ステータスが未処理→承認中になったとき 承認者 承認作業が必要 kintone標準
(ステータスの作業者のため自動通知)
2 ステータスが承認中→完了になったとき 申請者
(作成者)
承認が完了したこと レコードの条件通知
3 ステータスが承認中→未処理になったとき 申請者
(作成者)
差し戻しされたこと レコードの条件通知

表の1行目は、通知先が変更後のステータスの作業者のため、kintone標準の通知機能により自動的に通知されます。
2行目、3行目の2つについて「レコードの条件通知」設定が必要となります。

通知設定をする

さっそくkintoneアプリの設定画面から、通知の設定をしてみましょう。
今回は、レコードのステータスが変わったタイミングで、設定された通知が発信されるようにしたいので、3つあるkintoneの通知設定の中で「レコードの条件通知」を設定します。

kintone の通知の種類

kintoneの通知設定には次の3つの種類があります。目的によって使い分けて設定します。

  • アプリの条件通知
    レコードの追加や編集など、アプリの操作に対して共通で発信される通知です
  • レコードの条件通知
    個別のレコードのデータが特定の条件を満たした時に発信される通知です
  • リマインダーの条件通知
    レコードの日時フィールドに対して、設定されたタイミングで発信される通知です
    ☆kintoneの通知の中で唯一、人間の操作タイミング以外で発信される通知です

アプリの設定画面>設定>レコードの条件通知

レコードの条件通知設定内容 <クリックで拡大>

上の図のように、以下の2つの内容を設定しました。グレーの「追加する」ボタンを押して設定を追加します。

  1. 承認完了通知
    1. レコードの条件:ステータスが「次のいずれかを含む」:「完了」
    2. 通知先:作成者(フォームのフィールドを追加より選択)
    3. 通知内容:「申請内容が承認されました」(通知に表示されるコメントです。分かりやすい内容を記入します)
  2. 差し戻し通知
    1. レコードの条件:ステータスが「次のいずれかを含む」:「未処理」
    2. 通知先:作成者
    3. 通知内容:「申請が差し戻されました」

設定が終わったら、忘れずに「保存」ボタンを押して設定を保存し、アプリの設定画面の「アプリを更新」ボタンを押して反映させておきましょう。

次はkintoneアプリを動作させてみて、通知内容を確認します。

アプリの設定変更を行ったときは、個別設定画面の保存ボタンの他に、アプリの設定画面の「アプリを更新」ボタンを押して、アプリの運用環境に反映することが必要です。最後の青いボタン!忘れることが多いのでいつも確認するクセをつけておきましょう。

動作確認

申請書提出(承認者への通知)

申請書が提出され、ステータスが未処理→承認中に変化したときの通知です。
kintone標準の通知機能のため、通知コメントが「”未処理”→”承認中”」となっていて、ちょっと分かりづらいですね。この通知は標準通知なので消せないのでしかたないですが、もしどうしてもわかりにくいという場合は、個別にレコードの条件通知を設定してもいいのかもしれませんね。

通知のタイトルが「4」となっています。これはレコード番号なのですが、このままだとどんな内容のレコードについての通知なのか、よくわかりません。この対応策については、あとで話すことにしましょう。

承認通知(作成者への通知)

承認者によって承認するボタンが押された時に、申請者(=作成者)に発信される通知です。申請内容が承認されたことがわかりやすくてOKですね!

差し戻し通知(作成者への通知)

差し戻しボタンで差し戻されたときの通知です。通知の内容としてはOKですね。

分かりやすい通知になっているか?

 

先ほど整理した、分かりやすい通知にあるべき内容は以下のようなものでした。このような観点で今回設定した通知が適切かどうかチェックしてみましょう。

  1. 何についての通知なのか
    何についての通知なのか、については、そのレコードのタイトルを適切に設定しておくことで、タイトルを見ただけである程度の情報が得られるようにしておきましょう。
  2. 自分が何をするべきなのか
    自分が何をするべきなのか、については、承認するなどのアクションが必要であればアクションを促す通知内容にするべきですし、単にステータスが進捗した事を確認しておけばいいのか等が、なるべく通知を見ただけで理解できるように設定するべきです。

タイトルを適切にする

現状の設定では、タイトルに表示されていたのは「4」のようなレコード番号でした。ここをレコード番号ではなく、フィールドのデータを表示するように設定することができます。

これは「レコードタイトル」の設定を変更することで任意のフィールドデータを表示することができます。

アプリの設定 > その他の設定:レコードのタイトル

 

初期設定は「レコード番号」となっているので、ここを変更します。

ドロップダウンの選択から、「タイトル」文字列(1行)フィールドを選びます。

図の右側が修正前、左側が修正後です。アプリのレコードのタイトルフィールドに入力した値が通知タイトルとして表示されるようになりました。

この「レコードタイトル」の設定は、通知のタイトルだけではなく、モバイルの一覧画面の表示タイトルや検索結果のタイトルとしても使われますので覚えておきましょう。

参考:

【kintone業務改善】モバイル一覧のレコードタイトルをもっとわかりやすくする

 

何をするべきかわかる通知になっているか

通知内容のチェックで確認しましたが、それぞれ通知を受け取った人が何をするべきかがわかる内容になっていることが確認できました。

ところが、実際の利用シーンにおいては、通知を受け取って確認してすぐに対応できないケースもあります。差し戻しの通知を受け取って確認したけど、必要なデータが不備であったりして、再申請するまでに時間を要してしまうケースも考えられます。こういうケースの場合、通知にフラグを立てて取っておくという方法もありますが、大抵の場合はレコード一覧画面で対応が必要なものを後から確認できるようになっておいて欲しいわけです。

今回の場合、どのように表示されるでしょうか。申請前の作成中のレコードと、一度申請して差し戻されたレコードが混在している場合のレコード一覧画面を見てみましょう。

1行目のレコード番号7番は、申請前のまだ作成中のもの。2行目のレコード番号6番は、差し戻しによってステータス:未処理に帰ってきたものです。一覧に表示されるのは、現在のステータスと作業者だけです。この情報からは、どちらが差し戻されたものか、よくわかりません。

そして、レコードの詳細画面も見てみます。

詳細画面に表示される情報からは、これが差し戻されたレコードだということはわかりません。さらにステータスの履歴を表示させたとしても、一応承認者のステータス変更履歴は表示されているものの、差し戻しという言葉はどこにも見つからず、現在の状態がわかりにくくなっています。

改善:ステータスの見直し

以上の状況から、差し戻しをされた状態ということが、もう少し分かりやすいような形に修正する必要があります。
差し戻しされた状態であることをはっきり区別するために、新たにステータス:差し戻し という状態を追加することにします。

これを業務プロセスで表すと、上の図のようになります。

プロセス管理設置の変更

プロセス管理の設定を以下のように変更します。

「差し戻し」ステータスを追加します。
承認中ステータスの右側の+ボタンをクリックして、ステータスを1つ追加し、「差し戻し」とします。

プロセスの設定 <クリックで拡大します>

次に、追加したステータスに対応するように、プロセスの設定を変更します。

  1. 承認中ステータスのアクション「差し戻す」の行き先を、「未処理」から「差し戻し」に変更する
  2. 承認中ステータスの右にある+ボタンをクリックして、プロセスの行を追加します。
    1. 新しくできたプロセス行の、ステータスを「差し戻し」に設定
    2. 作業者は「作成者」とします。フィールドから選択の中から選択します。
    3. アクション名は「再申請する」その行き先は、「承認中」ステータス

通知設定の変更

通知についてはどうでしょうか?
今回新たに設定したステータス:差し戻しの作業者は「作成者」と指定しましたので、承認者が差し戻しをした時は、「変更後ステータスの作業者」にはkintone標準の通知機能で通知が発信される、ということになります。

先ほどレコードの条件通知で設定した、差し戻しの通知はどうするべきでしょうか?そのまま設定した場合は、標準通知とレコードの条件通知がダブルで通知されることになりそうですね。やってみましょう。

それではまず、レコードの条件通知の設定を「差し戻し」ステータスに対応した形に修正してみます。

レコードの条件通知設定画面 <クリックで拡大します>

この修正は簡単で、レコードの条件の内容を、ステータス:未処理から差し戻しに変更するだけです。

この状態で差し戻しを行うと、kintoneの通知画面は以下のようになりました。

2通くるはずの通知が1つしか表示されていません。

この環境では、メールでも通知を受け取るように設定していましたので、メールも確認してみます。

メールの通知は2通来ていることが確認できました。

kintone内の通知は、同じアプリ・レコードで同じ通知先の通知が2通ある場合は、通知画面においては最新の通知以外は省略されてしまうようですね。確かに、通知をよーく見てみると「他1件」と表示されています。

メール通知を利用していない環境では、このようにkintone標準の通知を、レコードの条件通知で上書きしてしまう、という使い方もアリなのかもしれません。通常は自分宛ての通知はメールでも受け取るという運用が多いと思いますので、その場合は、レコードの条件通知の差し戻し通知は削除しておきましょう。

ポイント
  • kintone内の通知は、同じアプリ・レコードで同じ通知先の通知が2通ある場合は、通知画面においては最新の通知以外は省略される。
  • 同様のケースで、メール通知を設定している場合は複数通の通知メールが発信される。

まとめ

今回は、プロセス管理でステータスが移動していくタイミングで、必要に応じた通知を設定する方法を学びました。

kintone標準で持っている通知機能と、個別に設定する通知(レコードの条件通知)の使い分け方法の基本がわかっていただけたかと思います。

次回のレクチャーでは、プロセス管理を使ったワークフローでよく使われる、アクセス権の設定の基本的な考え方を取り上げてみたいと思います。

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