アプリの完成は業務改善のスタート地点 ~「定期的棚卸し」実践ガイド

kintone SIGNPOST「6-42 定期的な棚卸し」概論

定期的な棚卸し | kintone SIGNPOST(キントーン サインポスト) 放っておいては、kintone環境の使いやすさは保てない。 kintone.cybozu.co.jp

kintoneを使った業務改善の道しるべをまとめた kintone SIGNPOSTのこのパターンは、業務改善のステップ6「継続企画」の中の1つのパターンです。

kintoneを使い始めてある程度の期間が経過し、順調に担い手が増えてアプリの数も増えてきた状況が舞台です。

このような状況で、増えていくアプリや利用するプラグイン・連携サービスをそのまま放置することによる弊害を紹介し、定期的にアプリやプラグインの棚卸しをしましょうとあります。

kintone SIGNPOSTでは、アプリやプラグイン・連携サービスについて言及されていますが、現実にkintoneを使っていく中で棚卸しが必要なものは他にもあります。
この記事では、これら棚卸しが必要な項目と、その具体的な手法・ノウハウについて、現時点(2022年3月)での最新情報を紹介します。

1.ユーザー管理

異動や退職によって、kintoneを使わなくなったユーザーを整理します。
ユーザーは課金と関連するので、割とタイムリーにメンテナンスされることが多いですが、部署が多かったり利用者数が多い場合に、ユーザー管理が抜けるケースが起こりやすくなります。

①ユーザーの使用状態を停止にする

ユーザー情報の編集画面で、使用状態を「停止中」にすることで、契約ユーザー数を消費しなくなります。

ユーザーを使用停止したい kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

ユーザー登録情報や、プロフィール、ピープルの書き込み内容は保持されたまま、一時的に利用できなくなります。kintoneから見たときにも、ユーザー選択や宛先設定でも出てこなくなります。

異動や一時的な利用休止等、利用が再開する可能性がある場合には、使用状態の停止を選ぶといいと思います。
kintoneを再度利用する場合は、「使用中」に戻すことで以前の登録情報のまま、復帰させることができます。

ユーザー情報の編集で使用状態を停止中にする。
過去の履歴等はきちんと残ります。ユーザー名をクリックしてもプロフィールページは表示されません。

②ユーザーを削除する

ユーザー登録を削除するという方法です。
ユーザー登録情報も削除されてしまいますので、再登録時は別のユーザーという扱いとなります。 ユーザーを削除したらデータも消えますか? kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

右上の赤い削除ボタンから、ユーザーを削除する。

同じユーザーIDで再登録した場合、コメントやスレッドの宛先設定リンクは復活して、ピープルが表示されるようになりますが、ユーザー選択はリンク切れのままです。

再登録、復帰の可能性がある場合は、①の使用状態:停止を使うようにすればいいと思います。

アプリやスレッドの削除ユーザーの履歴は残される。

③スムーズなユーザー管理のためのノウハウ

具体的なユーザー管理方法ですが、ユーザー管理アプリを作っておくといいかもしれませんね! 利用部門からの新規ユーザー登録申請や、ユーザー停止申請をアプリで管理します。

プロセス管理を活用することで、cybozu.com共通管理のユーザー登録作業と、ストアでのアカウント購入が別部署になっている場合のタスク連携にも活用できます。

あとは、利用部門毎に利用している人数を見える化しておくのもいいかもしれません。ただ、むやみにコスト削減をしようとして利用ユーザー数を減らしてしまう管理者が現れないよう注意が必要ですね。

2.アプリ

①現状の棚卸し(アプリ一覧)

アプリ管理画面でアプリの一覧を確認する kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

kintoneシステム管理メニューまたは上部の歯車メニューからアプリ管理を開くと、登録されているアプリの一覧を参照することができます。(kintoneシステム管理権限が必要)
ここではデータをCSVファイルでダウンロードすることもできますので、いろいろと活用ができるようになっています。

アプリの棚卸しにもいろいろな目的があると思います。

  • 利用しないアプリの削除
  • 重複するアプリの統合検討
  • アプリ名が重複しているアプリのチェック
  • ファイル容量が大きいアプリの整理

アプリ一覧データには、管理のための各種情報が含まれていますので、目的に応じたチェックが可能です。

「定期的な棚卸し」のためには、定期的に行うチェック項目を定めておくといいかもしれませんね。

単純な名前チェックには、私が公開している「アプリ検索」のブックマークレットも活用できますので、知らない方は試してみて下さい。
(②アプリ検索)

kintoneをもっと便利にしてくれるブックマークレットの活用 – Qiita こんにちは。プロジェクト・アスノートの松田です。 Qiitaデビュー一発目は、kintoneをもっと便利にサポートしてくれ qiita.com

「案件管理」で50アプリ出てきた私の開発環境(汗)

②将来の混乱を防ぐためのルールづくり

アプリ作成ルール | kintone SIGNPOST(キントーン サインポスト) ルールがあることで、安全に業務改善を続けられる。 kintone.cybozu.co.jp

kintone SIGNPOSTの「6-41 アプリ作成ルール」には、kintoneの担い手が増えてきて、作られるアプリ数が増えたときに、重複や複雑化の弊害が発生することに言及し、適切な「アプリ作成ルール」を作っておくことが大切だと説いています。

アプリ運用ルール策定ガイド(基本機能編) | kintone SIGNPOST(キントーン サインポスト) kintoneを利用する部門や対応業務が多い場合は、メンテナンス性を保つためにkintoneを管理する部門を明確にし、運用 kintone.cybozu.co.jp

またその具体的な制定ノウハウも公開されていますので、参考にしてみるといいと思います。

3.フォーム(フィールド)

アプリを最初に作るときには必要だと思って設置したフィールドも、運用を始めてみると実際は使われなかったり、あるいは分かりにくいために利用者が迷ってしまい、使われなくなることがあります。
特に、従来行っていた別の仕組み(Excelや別システム)から移行する形でkintoneアプリを作った場合によく起こります。

①フィールドを削除する前に

現在のフィールド一覧の棚卸しを行いましょう。
前述のブックマークレットを利用すると、フィールドの一覧情報を簡単に取り出すことができます。(⑥フィールド一覧を表示)

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フィールド一覧の表示(コピペでExcelに転記も可)

②フィールドを削除する前に

kintoneのアプリを削除しても、削除後14日以前であれば復旧することができます。

削除したアプリを復旧する kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

ところが、アプリのレコードやフィールドは、一度削除したらそこに保存していたデータは戻ってきません。
「守るべきはレコード、フィールド」

フィールドを削除する前には注意が必要です。
特に既に運用が開始されていて、既存のレコードにそのフィールドにデータがある場合、フィールド削除によりデータ復旧は不可能となります。

アプリフォーム内にゴミ箱を設置しよう
そこでオススメする方法が、アプリのフォーム内にグループフィールドを設置し、「ゴミ箱」として機能させるということです。
使わないと判断したフィールドは、すぐに削除するのではなく、まずはゴミ箱(グループフィールド)に移動するようにします。

グループフィールドの中に一時退避させる(ゴミ箱)
通常利用時には目立たない

そして、ある程度の期間そのまま運用してみて、データも含めて削除してもOKであることを確認後、削除します(ゴミを出す)。

ゴミ箱のグループフィールドにフィールドのアクセス権を設定し、アプリ管理者だけ参照できるようにしておくのもいい方法だと思います。
フィールドが無くなって困る人がいるかどうかの判断にも有効です。

4.一覧

①現状の棚卸し

長くアプリを使っていると増殖しがちなのが「一覧」や「グラフ」です。
しかも名称の付け方に一定のルールが無い場合が多く、それぞれ何を表しているのか非常にわかりにくくなってしまいがちです。

担当者別一覧など、増殖する一覧

そこで一覧の棚卸しをやろう!と思い立つわけですが、数が多いときにそれぞれの一覧の表示フィールドや絞り込み条件をパッと比較することができなくて、手が止まってしまいます。

ここでは一覧の設定リストを表示・書き出し可能なブックマークレットを紹介します。(⑧一覧の設定リスト出力)

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各一覧の設定内容を表示・CSV書き出しが可能

②一覧増殖を防ぐテクニック

一覧は便利なので、設定数が増えていくのもわかります。定期的な棚卸しを行ったとしても、イタチごっこになってしまうことも予想されます。
そこで、いたずらに一覧を増殖させないために覚えておくといいテクニックがあります。

「一覧の絞り込み設定はURLに入っている」

一覧の絞り込みを設定後、適用をクリック

一覧画面の絞り込み設定で設定を行います。ここでは先ほど出てきた担当者毎の一覧を例に説明します。
案件担当者が私(松田)の絞り込み条件を設定し、「適用」をクリック。一覧画面に反映させます。

ここで画面上絞り込みが行われましたが、通常はページを更新するとこの絞り込み条件はクリアーされてしまいます。

しかしここで、URLに注目してみましょう。
kintoneのサブドメインの後にアプリ番号があり、view=の後が一覧の固有番号です。その後に続く q= 以降が文字列が個別設定された絞り込み条件、ソート設定、表示件数を表しています。

“https://subdomain.cybozu.com/k/983/?view=5118336&q=f5118328%20in%20(%22%20USER%22%2C%20%221%22)#sort_0=f5118288&order_0=desc&size=20

このURLをリンクとして活用することで、一覧に登録をしなくても、同じ絞り込み条件の一覧を再度開くことが可能になります。
このリンクを、ポータルやスペースのお知らせ欄や、アプリの説明に設置するというような活用法があります。

アプリの説明欄に担当者別リンクを設置した例

5.プロセス管理

プロセス管理を設定したアプリも、しばらく業務で使った後に、プロセスやステータスの見直しをすることがあります。

多くの場合、アプリを作る前のディスカッションでは、本当は必要無いかもしれないステータスやプロセスを組み込んでしまいがちです。
でも、そこはkintoneの強みを生かして、アプリを改修して改善していけばいいということです。

①現状の棚卸し

本来はフローチャート等で表現したいところですが、都度フローチャートに書き換えるのはかなり労力を伴うので、私の記事「プロセス管理集中講座」でいつも使っている、kintoneの設定画面に近いレイアウトで、設定内容を書き出してみることにします。

こちらでもブックマークレットを活用した便利ツールを使うことで、ワンクリックで設定内容を書き出すことが可能になります(⑨プロセス管理の設定表示)

kintoneをもっと便利にしてくれるブックマークレットの活用 – Qiita こんにちは。プロジェクト・アスノートの松田です。 Qiitaデビュー一発目は、kintoneをもっと便利にサポートしてくれ qiita.com

次のような、プロセス管理の設定内容を画面表示し、そこからコピペでExcelや他のドキュメント作成ツールに転記することができますので、現状プロセスの見直しを行う際には有効活用できると思います。

プロセス管理の設定一覧

②プロセス見直しの例

最近、お客さんのアプリで実施した例としては、多段階の承認プロセスが設定されており、それはいいのですが、各段階にすべて差し戻しプロセスが設定されており、見た目的にもかなり複雑になっていました。

アプリを実際に運用してみると、プロセス管理による差し戻しはほぼ使われていなくて、実際には口頭やコメントを用いたコミュニケーションで内容確認や修正が行われているという実態が明らかになり、現状を業務メンバーの間でも共有することができました。

そこで、必ず最初にチェックを行う直接の上司だけに差し戻しプロセスを設定し、残りの承認段階から差し戻しのアクションを削除する、という見直しを行いました。

③プロセス管理の設定を見直すときの注意

プロセス管理の設定を見直すときの注意点がヘルプにまとまったページがありますので、把握しておくと便利です。

プロセス管理の設定を変更する場合の注意 kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

大きくプロセス設定を見直したい場合は、アプリを新しく作って引っ越してしまうのも、kintone的な使い方かもしれませんね!

6.プラグイン・連携サービス

プラグインや連携サービスを使って、kintoneの機能を補完・拡充していくことは、kintoneの大きなメリットです。
しかし、実際の活用シーンにおいては、やりたいことにフィットするプラグインを探すためにあれこれお試しで使ってみることもありますし、いつのまにか使わなくなっていたプラグインや連携サービスが見つかることもあります。

①現状の棚卸し

プラグインに関しては、kintoneシステム管理のプラグイン管理画面で、インストールされているプラグインを一覧表示することができます。
また、使われているアプリ一覧もあるので、リンクから直接アプリを開くこともできます。

プラグインの管理 kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

このプラグイン設定も、CSVファイルをダウンロードすることができますので、アプリ棚卸しと併せて、利用していないものを見つけ出すことができます。

②管理ルールを仕組み化しよう

プラグインは管理画面が用意されていますが、連携サービスにおいては、製品側の管理画面にログインして利用するものも多く、管理に抜け漏れが発生しやすい形態だと思います。

有料のプラグイン・連携サービスに関しては、管理台帳アプリを作っておくといいと思います。
そこには契約内容と利用代金、それからログイン画面のURLやサポート連絡先なども記録しておくと便利です。

連携サービスへの登録は担当者個人のメールアドレスで行うことが多いと思いますが、将来の担当者変更や引き継ぎ、そしてチームでの対応を考えると、可能であればグループメールアドレス(1つのメールアドレスを複数人で利用可能)を作って、それを登録アドレスにしておくことが望ましいと思います。
例)kintone-admin@maildomain などなど

7.ディスク容量

cybozu.comでは1ユーザーあたり5GBのディスク容量が提供されています。
10ユーザーでは50GB、100ユーザーだと500GBですね。

①現在のディスク使用量の確認

ディスク容量と現在の使用量を知りたい kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

cybozu.om共通管理画面から確認することができます。

②ディスク容量を確保する方法

1つはディスク容量を消費しているものを確認し、データの整理(削除)を行うことです。

アプリ(添付ファイル)
上の2.アプリでも説明したように、アプリ管理で各アプリの添付ファイルが消費しているディスク容量を確認することができます。
不要なアプリがある場合はアプリを削除することで容量を確保することができます。

アプリ(変更履歴)
アプリの各レコードに記録される変更履歴もデータを消費する要因となります。もちろんデータを編集した履歴を残すことは非常に大切なことですが、中には不要なものもあります。

ヘルプに記載もありますが、例えば他システムから定期的に大量データの更新を行っているアプリや、連携サービスによるアプリ間連携で大量のデータが更新されるような中間アプリ(APIによるデータ更新)については、あらかじめ変更履歴の記録を無効にしておくといいと思います。

また、過去の変更履歴データをクリアしたいが、将来は記録しておきたい場合は、変更履歴の記録を一旦無効にした後、再度有効にすることで、履歴データのリフレッシュを行うこともできます。このあたりは各対応の挙動を理解したうえで実施するようにしてください。

レコードの変更履歴の記録機能を無効にする kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

③ディスク容量に関する注意

ディスク使用量を減らすにはどうすればいいですか? kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

kintoneのディスク容量消費のしくみは、データベース領域(アプリのフィールドデータや設定)と添付ファイル領域で異なります。
ヘルプに記載がある通り、添付ファイルは削除することで空き容量を増やすことができますが、データベース領域のデータについては一度使用すると領域として確保されてしまうため、実質的な空き容量は増えてはいますが、契約状況画面で表示される空き容量は変わらないということが起こりますので注意が必要です。

8.各種管理権限

kintoneを取り巻くシステム全体を眺めると、管理権限も何種類かあり、それによってできることが違ってきます。
ヘルプに分かりやすく説明したページがありますので、これを理解しておくといいと思います。

管理メンバーの変更・追加時には管理権限を持つメンバーも適切に変更しておく必要があります。

管理者の種類と権限 kintoneのヘルプです。 kintoneを利用するために必要な設定や操作方法などを説明します。 jp.cybozu.help

まとめ.アプリを使い始めた時が業務改善のスタート

最後に、2019/6/20 kintone hive 東京の懇親会セッション「俺キン」でのショートプレゼンをお届けします。

「kintone業務改善は改善のサイクルを回し続けることがキモ」

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保有しているkintone認定資格:
・kintone認定アソシエイト(2017)
・kintone認定アプリデザインスペシャリスト(2017)
・kintone認定カスタマイズスペシャリスト(2020)

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