kintoneでワークフロー6.承認者が複数(全員の承認が必要)

このレクチャーの目的

これまでのレクチャーでは、業務プロセス(申請者→承認者 という業務がどのように流れていくか)の違いを、kintoneプロセス管理でどう表現するかについて学習してきました。ここからの2回では、ステータスを進めるボタンを押す人、すなわち作業者の設定方法の応用編です。

これまで作ってきた業務プロセスでは、各ステータスの作業者は1人という設定でした。
実際の業務においては、あるところではチームで対応するケースもあり、複数いる担当者の内、誰か1人が確認や判断をすることで次のステータスに進んでもOKという場合はよくあると思います。

kintone初心者の方はぜひ自分でも手を動かしながら、実際にアプリの設定を行い、アプリの動きを確認してみてください。

このレクチャーの目的

今回の学習を通して、以下のことを学びます

  • kintoneプロセス管理を設定するための、業務の整理方法と設定内容の組み立て方を学ぶ
  • プロセス管理の基本的な設定方法
  • プロセス管理における作業者の使い方について理解する

1.業務プロセスを整理する

担当者が申請した案件を承認者が承認する、というシンプルな業務プロセスにおいて、承認者が複数いるケースを考えてみます。

前回のレクチャーでは、複数の承認者のうち、その中の誰か1人が承認すれば承認完了となるケースについて紹介しましたが、今回は、承認者全員の承認が必要となる場合について説明していきます。

これを業務プロセス図で表すと、次のようになります。

今回のポイントは、「却下の取り扱い」です。

却下の取り扱い

承認については、全員の承認が必要、ということでわかりやすい考え方ですが、「却下」について考えてみましょう。

ある案件を承認するのに、複数人の総意が必要、という考え方はあると思います。却下の場合はどうでしょうか?
却下も同じように、全員が却下にしないとダメ、という考え方にした場合、票が割れたときに困ってしまいますね。その案件の状態は宙ぶらりんになってしまいます。

通常、このようなケースをワークフローで表現する場合は、次のような考え方とします。

  • 承認: 承認者全員の承認が必要
  • 却下: 承認者の内、誰か1人が却下したら却下とする

たとえば、3人の承認者が設定されていた場合、1人または2人の承認者が「承認」としていた場合であっても、残りの1人が「却下」としたら、この案件は却下とする、ということになります。

「いやいや、でも現実はそうは簡単には」っていう方もいると思います。
そうですね。やはり何かを意思決定する人は1人にしておくほうが、ホントは望ましいですよね。
複数の意見を聞いて、ディスカッションを行うことはもちろん重要です。
しかし
「最終的に決めるのは誰」ということをキチンと決めておくことが、
意思決定プロセスにおいては重要だと思います。

既存の業務を業務プロセス図などで整理していくと、思いのほか多くの承認プロセスが組み込まれていることが多いのではないでしょうか。業務をkintone化する検討過程の中で、業務プロセスをなるべくシンプルに、そして早く回るように改善していくことも非常に大切なことです。

 

3.プロセス設定に必要な項目を整理する

今回設定したい内容は、承認中ステータスの作業者を複数設定し、その中で誰か1人の承認でステータスが進められるようにすることです。

ステータスは次の4つが必要になります。

  • 未処理(申請前)
  • 承認中
  • 完了
  • 却下

作業者全員の承認が必要の場合のプロセス管理設定方法

今回のケースでは、これまで設定してきたプロセス管理の設定とは、やや違った設定が必要になります。そのためのkintoneの機能を理解しましょう。

プロセス管理の設定画面で、まず上記のステータスを設定します。
その後、各ステータス間のプロセスを設定していくわけですが、ステータス:承認中 の作業者を設定します。ここで、作業者のドリルダウンメニューから、「次のユーザー全員」を選択します。

このときに、設定画面がこれまで見てきたのとは違っていることに注意してください。

これまでの設定画面「次のユーザーのうち1人」

作業者が「次のユーザー全員」の場合のプロセス設定

ステータスの作業者に「次のユーザー全員」を選択すると、右側のアクション実行後の移行先ステータスのところに、次のような表示が現れます。

作業者全員の実行が必要なアクションと、作業者のうち1人の実行が必要なアクションを指定できます。

kintoneは上で書いたようなロジックを、あらかじめ用意してくれています。
最初の状態では、アクション実行後のステータスが1つしか表示されていませんが、+ボタンを押してアクションを追加してみましょう。

2番めのアクションには「作業者のうち1人がアクションを実行します」表示がある

1つめのアクションには「作業者全員がアクションを実行します」、2番めには「作業者のうち1人がアクションを実行します」という表示がでてきましたね。
ここにそれぞれ、行き先となるステータスとアクションボタンの表示を設定すればいいことになります。

アクションを3つ以上増やした場合は、1つ目は「作業者全員がアクションを実行」となりますが、残りはすべて「作業者のうち1人がアクションを実行」となります。やはり、

※この機能については、kintoneヘルプにも詳しい記載はありません。ぜひ実際にkintoneを操作してみて、内容を把握しておきましょう。

これを踏まえて、今回のプロセス管理の設定に必要な内容を整理してみました。

表 プロセス管理の設定内容

現ステータス 作業者 条件 ボタン名 次のステータス
1 未処理 担当者 「承認依頼する」 承認中
2 承認中 承認者(複数)
※全員の承認が必要
「承認する」
※全員がアクションを実行
完了
「却下する」
※1人がアクションを実行
却下

 

承認中ステータスの作業者をどのように設定するかがポイントとなります。
完了と却下については、次に移行するべきステータスが無い(すなわちプロセスの終着点)ので、この表の現ステータスには出てきません。

この表の解釈:

  1. ステータス:未処理 の作業者は「担当者」であり、「申請(確認依頼)」ボタンを押すことで、次のステータス:確認中 に移行する
  2. ステータス:承認中 の作業者は「承認者」(複数設定)であり、全員の承認が必要
    1. 「承認する」ボタンを押すことで、次のステータス:完了 に移行する
      このアクションは全員の実行が必要
    2. 「却下する」ボタンを押した場合は、次のステータス:却下 に移行する
      1人の実行でアクション作動
  3. ステータス:完了却下 からは、他のステータスへの移行はない

kintoneに設定するための準備が、これで整いました。

 

4.プロセス管理の設定をする

さっそくkintoneアプリのプロセス管理の設定を修正してみましょう。

ステータスは上で整理した、4つのステータスを設定します。

ステータスの設定内容

ステータス間のプロセスの設定は、上で整理した表の内容に従って設定します。

プロセスの設定

承認中ステータスの作業者のところに、ドロップダウンメニューがあります。
ここの設定を「次のユーザー全員」とします。

そして、今回は複数の承認者を、ユーザーから選択して、私と承認者A、承認者Bの3人を設定しました。

設定が終わったら、思い通りの動きになっているか、アプリを動かして確かめてみます。
自分で承認者の操作も確認できるよう、承認者の中に自分も設定しておきました。

設定が終わったら、忘れずに「保存」ボタンを押して設定を保存し、アプリの設定画面の「アプリを更新」ボタン(青いボタン)を押して反映させておきましょう。

次に、設定したkintoneアプリを動作させてみて、目的の動きをするか確認してみましょう。

5.動作確認

  1. 【担当者の画面】
    新規レコードを作成・保存して、「承認依頼する」ボタンでステータスを進めてみます。
    次のステータスは「承認中」となり、作業者には先ほど設定した3人が表示され「全員の実行が必要」と表示されています。

    次のステータスは承認中。作業者は「全員の実行が必要」となっています

  2. 【承認者の画面】
    ステータス:承認中
    「承認する」「却下する」の2つのボタンが表示されています。
    現在の作業者は、自分の他に2名いることがここでわかります。
    ※この表示は前回やった「誰か1人の承認が必要」の場合と似ていますが、それぞれの作業者の作業状況が表示されているところが異なります。

    承認者の画面(作業者が複数設定され、作業状況が表示されている)

    「承認する」ボタンを押して、承認作業を行ってみます。

  3. レコードのステータスは「承認中」のままで変わっていません。
    現在の作業者の詳細を確認すると、今回承認を行ったユーザーについては作業状況が「承認する」となっていますが、他の2名の承認者については「未処理」となっています。
  4. 他の2人の承認者が全員「承認する」を実行した場合には、ステータスは「完了」となり、そのレコードのプロセスは終わりました。

※あなたがアプリの管理者の場合、完了以前のステータスにおいて「現在の作業者を変更する」ボタンが表示されています。これは管理者が現在の作業者を変更する機能となります。通常の管理者以外の利用者の画面には表示されません。

却下するプロセスについても確認してみましょう。

  1. 【承認者の画面】
    すでに他の承認者Bが一人「承認する」を実行しています。承認者Aはまだ何も行っていません。この状態で私がこのレコードを却下してみましょう。

    1人の承認がされている状態で却下してみます

  2. ステータスは「却下」となり、このレコードのプロセスは完了しました。
    想定した通り、誰かが承認している状態でも、誰か1人が却下したことによって、このレコードは却下となりました。

 

まとめ

今回のレクチャーで、各ステータスに設定する作業者の取り扱いのバリエーションである、複数承認者の全員の承認が必要なケースについての設定方法と、その場合のkintoneの動きを学びました。
これでプロセス管理の作業者の設定の3つのパターンを学ぶことができました。

このシリーズでは、シンプルな業務プロセスを例として、業務の整理の仕方、そしてそれをkintoneのプロセス管理の設定に必要な情報に落とし込む考え方を紹介しています。
ここで行っている手法は、対象の業務プロセスがより複雑になった場合にも有効です。同様の手法をみなさん自身のアプリ構築にも応用してみてください。

 

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