アプリを作らない! kintone導入はじめの一歩 〜スペース活用のすすめ
みなさんこんにちは。プロジェクト・アスノート代表の松田です。
コミュニティーや勉強会などでkintoneを導入しようと頑張っている人たちと話をすると、次のような話をよく聞くことがあります。
「kintoneを導入したいんだけど、どんなアプリから始めるのがいいでしょうか?」
このような質問が生まれる背景
kintoneの導入目的もいろいろあると思います。
- 既存の○○システムをkintoneで置き換える
- Excelや紙の作業が多く、kintoneを使って業務改善(業務の生産性向上や効率化)をしたい
- kintoneってなんか面白そうでいろいろできそうなので、ぜひ自分の職場でも導入したい
1つめの既存システム置き換えは、情シス部門の人がkintone導入を考えるときによくあるケースです。しかしkintoneを導入したいと考えている人の多くは、情シスなどのシステムの専門家ではなく、いわゆる「業務リーダー」であるケースが多いと思います。自分の組織の業務を改善できるぞ!という可能性は感じながらも、どこから始めてどういう手順で導入を進めていけばいいのかがよくわからない。
そこで冒頭の質問になるわけです。
kintoneの強みを改めて考える
kintoneといえば、「業務アプリを誰でも簡単に作ることができる!」というイメージですね。確かに製品のウェブサイトでもそこを強調しています。
ここで、あえてもう一度、kintoneの強み(特徴)を考えてみます。(製品資料のWebページから資料をダウンロードすることができますのでご参考に)
kintoneの強みは次の3つです。
- データベース
- プロセス管理
- コミュニケーション
1と2については、アプリを使った情報共有と、業務のプロセス管理のことです。今回は3の「コミュニケーション」を入り口としたkintone導入プロセスを紹介します。
コミュニケーションを入り口としたkintone導入のすすめ(スペーススレッドの活用)
意外にとっつきにくいアプリ活用
一般的に、kintoneを使い始めて最初にすることは、アプリの作成だと思います。はじめての人向けのセミナーでもやはり、アプリの作り方を最初に教えてくれます。確かにマウスでフィールドを配置し、設定変更するだけで簡単にアプリを作ることができます。しかし、実際に業務に使えるアプリを作り、それを他のメンバーと一緒に使うには、次のようなステップが必要になります。
- どの業務を対象とするか決める
- どんなアプリの構成にすればいいか考える
- 必要に応じて、通知やアクセス権、プロセス管理などの設定を行う
- 他のメンバーに説明し、利用をスタートさせる
- 他のメンバーがkintoneを使った業務のやり方に慣れるようフォローする
- 運用する中で出てきた改善ポイントをkintoneアプリに適用し、修正する。
それぞれのステップの難易度は、選んだ業務の種類や、従来どのようなやり方をしていたか、メンバーの感度(ITリテラシーや変化への抵抗度合い)によります。通常kintoneのような情報共有基盤がない状態で行う業務は、Excel等の電子ファイルや紙の帳票にデータを記載・蓄積し、そして電子メールや電話でコミュニケーションを取りながら業務を進め、結果は台帳(Excelや紙)に記載し保存する、という手段で行われていると思います。これをkintoneを中心としたやり取りに変えていくことは、メンバーの構成によっては、慣れるまで時間がかかったり、そもそも最初の抵抗感を乗り越えることができなかったりすることもあります。
そこで、アプリを作って使い始めるその前の第一歩として、kintoneの「スペース」機能を使ったコミュニケーションからはじめてみることをオススメしたいと思います。
あくまでkintone活用のメインはアプリを使うところですが、ここではこのようなシステムに不慣れな人や、いきなり仕事のやり方が変わることに抵抗がある人に対してのとっかかりとして、ゆるいコミュニケーションから始めてみる提案です。
スペースで何をするか?
さて、それではスペースではどんなことができるのでしょうか?
スペースでできるコミュニケーション機能は、基本的には以下の2つ。
- ポータルやスレッドを用いた情報の掲示
- スレッドのコメントを使ったディスカッション(やり取り)
ポータルやスレッドへの投稿は、下の図のように、添付ファイルや画像などの要素を盛り込んだり、フォントの書式を工夫したわかりやすい表現が可能です。
また、コメントを投稿することで簡単なやり取りや、ディスカッション、連絡の確認なども行うことができます。
スレッドの書き込みに対しては、コメントを投稿する以外に「いいね!」機能もついていますので、「読んだよ!」という意味でいいね!を活用したり、「同感!」という意味で使ったりと、工夫することもできます。
業務に関するやり取りも、ここを使って緩やかに行うことができます。アプリを使うにはちょっとハードルが高いかも。。。という場合は、最初はスペース機能だけを緩やかに使って、これまで電話や電子メールでやり取りしていたことを、kintoneの場でやってみるというのを、kintone活用のスタート地点としてみるのもオススメです。
業務に関するやり取りの例:
- 休みや遅刻の連絡
- 掲示板的な使い方(周知事項やイベント、飲み会のお誘い)
- 今ホットなテーマのディスカッション
- kintone活用に関する質問や疑問
冒頭の質問と同様、よく聞くのが「スペースの活用法がよくわからない」というものです。まずは堅苦しく考えず使い始めてみるのもいいと思います。
私はよく、kintone導入にあたってのアプリの項目修正や、いろいろな機能の説明、その他連絡の場として、自分でスレッドを立てて導入部署のキーマンをそこに無理やり引き込んで使わせる、という方法を取ることもあります。メールでもらった質問への返答も、全てkintone内で完結させることで、議論の場、情報共有の場をこちらからコントロールすることができます。
スペースを設定する
それではさっそくスペースを設置して試してみましょう。
スペースを作るには、ポータル(kintoneトップページ)のスペースのところにある「+」ボタンをクリックします。
スペース作成ボタンを押すと、スペースを作成/ゲストスペースを作成 の選択が表示されます。今回はkintoneに登録されたメンバーで使うためのスペースですから、「スペースを作成」を選びます。
次に、スペースの作成方法を選びます。スペースのテンプレートが登録されている場合は、テンプレートの名前が表示されていますが、通常は「はじめから作る」をクリックして進みます。
次に図のような、これから作るスペースの設定画面が表示されます。ここで基本的な設定を行います。
スペース名
スペースの名前を入力します。○○グループとかテーマ名とか、わかりやすい名前を設定しましょう。
(後から変更可能)
「参加メンバーだけにこのスペースを公開する」チェック
ここにチェックを入れると、「非公開スペース」になります。スペースのメンバーに登録された人だけが参加可能です。メンバー以外にはスペースの存在も見えなくなります。オープンなテーマでコミュニケーションを行うためのスペースの場合、ここはチェックを入れずに「公開スペース」としましょう。公開スペースは、登録メンバー以外からもその存在や、中に書かれたスレッドの内容が見えることになります。
(後から変更可能)
「スペースのポータルと複数のスレッドを使用する」チェック
ここでは、スペースのフォーマットを選びます。下で説明するように、スペースの基本レイアウトには2種類あります。今回のようにテーマごとのコミュニケーションを行う場合は、複数のスレッドを使いたいので、チェックを入れておきます。
なお、ここをチェックした状態で一度作ってしまったスペースは、基本レイアウトが確定してしまいますので、あとから変更することはできません。ポータル・複数スレッド無しのフォーマットに戻すときは、スペースの作り直しが必要です。
スペースの参加/退会、スレッドのフォロー/フォロー解除を禁止する
スペースには「参加」という概念が、その中のスレッドには「フォロー」という概念があります。
参加/フォローをすると、それが作られたときや本文の修正があったときに、通知を受け取ることができます。
非公開スペースの場合、そもそも見ることができるのはスペースのメンバーだけですが、公開スペースの場合は見たいときに見るだけではなく、興味があるスペースに参加したり、スレッドをフォローすることで更新の通知を受け取ることができるようになります。
スペースのメンバーに登録されると、自動的に全てのスレッドをフォローしたことになります。
公開スペースで、メンバーになっていないけれど通知を受け取りたいという場合、スペース全体の通知が欲しい場合はスペースに参加、特定のスレッドだけ通知が欲しい場合はそのスレッドをフォローします。
このチェックをオンにすると、本来スペースのメンバーに登録されても、個別のスレッドのフォローは自分で解除できたのですが、それをできなくします。また、スペースからの退会もできなくなります。つまり【強制参加モード】ですね。
また、公開スペースの場合、登録メンバーではない人がスペースに新しく参加したり、スレッドのフォローをすることもできなくなります。
スペースの2つのレイアウト
こちらは、ポータルと複数スレッド「あり」(チェックを入れた場合)のレイアウトです。kintoneのポータル(トップ画面)とよく似たレイアウトで、左側にお知らせ、右にスレッドのリスト、スペース内アプリ、ピープル(スペースメンバー)等がレイアウトされています。
ポータルの本文には、グループ全体へのお知らせや、全体で共有したいアプリの一覧やグラフを貼り付ける使い方ができます。
テーマ毎に複数のスレッドを作ることができ、画面の左端でスレッドを選択すると切り替わります。1つのスペースで複数のテーマに分けたコミュニケーションをやりたい場合はこのスタイルが適しています。
スレッドの中は、最新の投稿が上に表示されます。テーマを分けておくことでそれぞれの最新のやり取りが確認しやすくなります。どんどん投稿が増えてきても、自動的に今アクティブな投稿が上に上がってきますから、やや緩めの情報共有には十分ですね。
スレッドの分け方の例: 掲示板、各種連絡、ザツダン
こちらは「ポータルと複数スレッドが無い」レイアウトです。
ポータル画面が無いので、スペースを開くと直接この画面が開きます。コメントを使ったコミュニケーションというより、1つだけのスレッドの本文を書き直しながら、大きく伝えたいことを掲示したり、アプリの一覧やグラフ等を貼り付けて最新情報を共有する場として使うようなケースに向いています。
スペースのポータルと複数のスレッドあり(ポータル型)
- ポータルとしての活用ができる(アプリの貼り付けや、関連リンク等)
- 1つのスペースでテーマを分けてコミュニケーションしたい場合(複数のスレッドが使える)
- あるテーマのグループでいろいろなことに使うポータル機能のイメージ
スペースのポータルと複数のスレッドなし(スレッド単体型)
- 単発の機能をまとめたページ(アプリのデータ貼付けや、単独の掲示板)
最後に ~kintoneでのコミュニケーションは堅苦しく考えない
スペースを使ったゆるいコミュニケーションを始めるにあたって、ぜひとも気をつけて実行してほしいことがあります。
これを読んでいる人は、kintone導入を通して業務改善・コミュニケーション改善を進めていくリーダーという立場だと思います。
まずは、あなた自身が、そして導入先のリーダーさんたちにお願いすることとして、以下の3点をぜひとも心がけてほしいです。
- スレッドへの書き込みは、ややくだけた文章でちょうどいい。
「○○様、いつもお世話になっています。△△です。」のような、堅苦しいやり取りはスレッドコミュニケーションには向きません。堅苦しい雰囲気を取り除くようにしてください - メンバーや部下の書き込みに対して、簡単でいいのでコメントやいいね!のリアクションを心がける
自分の書いたものに対して、コメントやいいねを通して反応があると嬉しいものです。 - すぐ近くに座っていても、あえてkintoneを使う
「やり取りを残していくこと」は、その場にいないメンバーやあとから読み返す人への心遣いです。
以下のやり取りは実際にあったものです(笑)
楽しみながらチームワークを向上させ、業務改善を進めましょう!
- スペースのスレッドアクションを活用することで、スペースの書き込みをアプリにコピーすることができます!
こちらの動画もぜひごらんになってください。
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