kintoneでワークフロー2.単純承認プロセス(差し戻しあり)
このレクチャーの目的
前回は、一番基本となる業務プロセス「単純承認プロセス」を設定してみました。前回のアプリを修正して、「差し戻しプロセス」を実現してみましょう。kintone初心者の方はぜひ自分でも手を動かしながら、実際にアプリの設定を行い、アプリの動きを確認してみてください。
「差し戻しプロセス」の実装を通して、以下のことを学びます
- 業務の流れを把握し整理する方法の基本を学ぶ
- プロセス管理の設定方法の基本を学ぶ
- プロセス管理に関する、kintone用語に慣れる
- プロセス管理に関する、kintone独自の考え方に慣れる
前回の記事で設定した、「単純承認プロセス」は以下のような業務プロセスでした。
担当者が申請した内容を承認者が承認する、というシンプルな業務でした。実際の業務シーンを考えてみると、申請内容に不備があったりした場合に、そのまま承認せずに、申請者に差し戻すというケースも考えておきたいですね。そこで、上の業務プロセスに差し戻しプロセスを入れてみましょう。
差し戻しですから、承認の判断をするときに、「承認する」という選択肢以外に、「差し戻す」とう選択肢が必要になりますね。差し戻した場合の行き先は、担当者が申請する前の段階に戻るという考え方とします。上のフローチャートでいうと、承認から起票に戻る矢印(差し戻す)が付け加わったことがわかると思います。
フローチャートの矢印に、斜めの線がついているものがあります。これは通常通るルートを表しています。
ルートの分岐がある場合に、一番スムーズに流れるプロセスをこの記号で表現しています。
次にステータスの切り分けについて考えてみましょう。
今回行う差し戻しは、ステータス:「承認中」から、「未処理」に戻すためのルートを設定することにします。この場合、新しいステータスは使用しないので、ステータスは前回と同じになります。あとは承認中→未処理に戻すための設定を行います。
※この業務フローは、わかりやすくするために、前回の記事でステータス名を見直す前の名称で表示しています。
今回行いたい変更は、承認中ステータスからのルートに差し戻し用に「未処理」行きを追加することです。
表 プロセス管理の設定内容
現ステータス | 作業者 | 条件 | ボタン名 | 次のステータス | |
1 | 未処理 | 担当者 | – | 「申請する」 | 承認中 |
2 | 承認中 | 承認者 | – | 「承認する」 | 完了 |
「差し戻す」 | 未処理 |
表のピンク色の部分が今回追加したところです。承認中のステータスの行の中で、ボタン名を2行設定しています。これによってアプリの画面上ではボタンが2つ表示されることになります。
この表の解釈:
- ステータス:未処理 の作業者は「担当者」であり、「申請する」ボタンを押すことで、次のステータス:承認中 に移行する
- ステータス:承認中 の作業者は「承認者」であり、
- 「承認する」ボタンを押すことで、次のステータス:完了 に移行する
- 「差し戻す」ボタンを押した場合は、次のステータス:未処理 に移行する
- ステータス:完了 からは、他のステータスへの移行はない
kintoneに設定するための準備が、これで整いました。
さっそくkintoneアプリのプロセス管理の設定を修正してみましょう。
プロセスの設定で分岐設定を行う場合、設定画面のどの部分の「+」ボタンを押して追加するか、少しわかりにくいです。今回はアクションの実行条件は関係なく、ボタンを2つ設置したいわけですから、「承認する」ボタンのアクション名の枠の右側にある「+」ボタンを押して、2個めのボタンを設定します。
ここに、次のように設定します。
- アクション実行後のステータス:「未処理」
- アクション名(ボタン名):「差し戻す」
このあと、設定通りの画面になっているか自分で確認するため、承認中ステータスの作業者は設定しないでおきます。
設定が終わったら、忘れずに「保存」ボタンを押して設定を保存し、アプリの設定画面の「アプリを更新」ボタンを押して反映させておきましょう。
次はkintoneアプリを動作させてみて、目的の動きをするか確認してみましょう。
前回同様に、新規レコードを作成・保存して、「承認依頼する」ボタンでステータスを進めてみます。
設定したとおり、ステータス:承認中のときに、「承認する」ボタンに加えて「差し戻す」ボタンが表示されています。
差し戻しを実行してみます。
「差し戻す」ボタンを実行した場合の、次のステータスは設定通り「未処理」となっています。
次の課題
実際にワークフローを業務で使うときは、承認された時や差し戻しされた時には通知が欲しいですよね?プロセス管理と組み合わせた通知の設定には、少しコツが必要です。次回以降の記事で、詳しく説明しながら、今回作ったアプリをブラッシュアップさせてみたいと思います。
もう1つ。今回作った差し戻しプロセス、実際にワークフローとして使うときには、少し問題があります。これに関しても次のレクチャーで明らかにしていきます。
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