生成AIの時代だからこそ——『ゼロから始めるkintoneカスタマイズ入門』を出した理由
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2026年4月18日、日経BPより『ゼロから始めるkintoneカスタマイズ入門』を刊行しました(著:松田正太郎・石井健太郎・中村徹/監修:サイボウズ株式会社)。
発売に先立ち、note で「なぜカスタマイズを学ぶ本を出すのか」と書いた記事がありました。本記事は、その考えを踏まえつつ、発売後の視点——とくに 生成AI が急速に普及したいま——で改めてまとめたものです。
「ノーコードの時代だからこそ、カスタマイズを学ぶ価値がある」
この思いは、本を手に取っていただいたあとも変わりません。
ノーコードも生成AIも、便利さの裏に「考えない設計」がある
ノーコード/ローコードという言葉をよく耳にします。プログラミングをしなくても業務アプリが作れ、業務改善もできる——とても便利で、実際に多くの現場で成果を上げています。
kintone もその代表格です。クリックだけでアプリを作れ、フィールドを並べるだけで業務をデジタル化できます。
そして 2026年現在、生成AI が加わりました。kintone のカスタマイズコードを AI に書かせると、サクッとそれなりに動くものができあがります。試作のスピードは、以前とは比べ物になりません。
けれど、その便利さの裏で、
- なぜこう作るのか
- この仕様で本当にいいのか
- AI が書いたコードは、kintone の仕様に沿っているのか
を考える機会が、減っているように感じます。
ノーコードも生成AIも、「作るハードル」を下げてくれます。同時に、考えなくても形になる危うさも持っています。
ノーコードは「考えない仕組み化」にもなり得る。本当に大事なのは、「なぜ」を考え続けることです。
生成AIは「代筆」には向くが、「理解」は代わりにしてくれない
生成AIは優秀なアシスタントです。ただ、次のような限界も、現場では日常的に見かけます。
- 存在しない API やイベントを自信満々に提案してくる(いわゆるハルシネーション)
- 動くコードが書けても、なぜ動くのか・どこを直せばよいかが伝わらない
- 組織の中で 誰もメンテナンスできないカスタマイズが増える
- 「AI に聞けばいい」で終わり、kintone のお作法がチームに蓄積されない
AI にコードを書かせることと、自分で理解することは、別の話です。
本書は、AI の出力を鵜呑みにするのではなく、自分の頭と手で kintone の仕組みを掴むための土台として書きました。AI を使う前提でも、「何を確認すべきか」「どこが kintone の守備範囲か」が分かっている人のほうが、はるかにうまく活用できます。
JavaScript は目的ではなく、考えるための「道具」
kintone のカスタマイズでは JavaScript を使います。でも、それは「エンジニアになるため」ではありません。仕組みを理解するための言語です。
たとえば——
- なぜこの処理がこの順番で動くのか
- どこにデータが渡され、どう変化するのか
- どのタイミングでユーザーが関与するのか
コードを書く(または読んで動かす)ことで、これらの構造が見えるようになります。そしてそれが、「業務をどう設計すればよいか」を考える土台になります。
コードは、仕組みを理解するための言語。書くことは「考えること」そのものです。
本当に大事なのは「kintone のお作法を理解すること」
kintone カスタマイズの中心にあるのは API です。API を理解することは、「kintone の世界で何ができて、何ができないのか」——すなわち kintone のお作法を知ることにほかなりません。
- どのイベントでスクリプトが動くのか
- どんなデータを取得・更新できるのか
- どんな制限(レコード数・通信・権限など)があるのか
- どこまでが kintone の守備範囲なのか
これを理解していないと、動くものを作っても運用で困ることがあります。また、基本機能とカスタマイズをどう棲み分けるかも、現場では非常に重要な判断です。
本書では、こうした「お作法」を 528ページ・サンプルコード343本・練習問題157問 で、ゼロから体系的に学べる構成にしています。
カスタマイズを学ぶことは、「判断の精度」を上げること
カスタマイズを学ぶことで身につくのは、「作る力」だけではありません。選ぶ力と対話する力です。
プラグインや連携サービスを「選ぶ目」が育つ
kintone には便利なプラグインや連携サービスがたくさんあります。なんとなく導入していくと、似た機能が重複したり、複雑な仕組みになったりします。
API の理解があれば、
- 「この部分はプラグインで十分」
- 「ここはカスタマイズした方が柔軟」
という判断ができるようになります。
開発者との会話が「通じる」ようになる
エンジニアや開発パートナーとやり取りする際にも、API やイベントの仕組みを知っていると話がスムーズです。
「ここは API の仕様で制限されていますよね?」
「ここまでは kintone API でできますが、この部分は工夫が必要ですよね」
こんな会話ができるだけで、丸投げから共創へ関係が変わります。
経験のある人だけが見える「構造」がある
レビューだけをしている人と、自分で手を動かし、失敗し、試行錯誤を繰り返した人——その違いは、知識ではなく 理解の深さ にあります。
実際にコードを書き、トライアルや試行錯誤を繰り返すと、
- どこでつまずくのか
- どの順番で処理が走るのか
- どうすれば改善できるのか
そうした構造的な理解が自然に身につきます。経験を通じて得た理解は、単なるスキルではなく、判断の引き出しになります。
本書と「ゼロキンカス道場」で届けたかったこと
『ゼロから始めるkintoneカスタマイズ入門』は、プログラミング未経験でも手を動かしながら読み進められる入門書です。kintone 認定カスタマイズスペシャリストの試験範囲もカバーし、現場で使える実践力の習得を目指しています。
あわせて、読者向けポータル ゼロキンカス道場 では、サンプルコードの補足資料や Web 版練習問題など、本書と連動した学習コンテンツを公開しています。Facebook グループ(ゼロキンカス読者コミュニティ)でも、最新情報や読者の交流の場を用意しています。
「本を読んで終わり」ではなく、学び続けるための仕組みとして整えました。
まとめ:考えるために、書く——AI の時代だからこそ
AI がコードを書いてくれる時代に、なぜ今、自分でカスタマイズを学ぶのか。
それは、考える力を取り戻し、成長させるためです。
- 手を動かすことで、自分の理解の限界を知る
- 動かして失敗することで、仕組みの本質を知る
- そのうえで AI を 検証・改善のパートナーとして使う
それが、kintone カスタマイズを学ぶ一番の価値だと思います。ノーコードの時代こそ、「考える力」が差を生む——発売後も、改めてそう信じています。
書籍情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | ゼロから始めるkintoneカスタマイズ入門 |
| 著者 | 松田正太郎・石井健太郎・中村徹 |
| 監修 | サイボウズ株式会社 |
| 出版社 | 日経BP |
| 発売日 | 2026年4月18日 |
| ページ数 | 528ページ |
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